秋 夜道 先輩 事件

久里洋二の最新刊

※注意:この先の文書は、1億年前から進化をしていない(する必要がなかった)、油を纏った昆虫、所謂
「先輩」
についての事件が書かれています。先輩に関しての記事でご気分が悪くなることが予想される方は、閲覧をお控え下さい。

………それは、私が「ククルカン・クローバー:秋」という芝居の稽古後のことでした。私は小劇場界の恒例行事、「稽古場前でのシメ」に参加しようと、稽古場の玄関に集合しました。その時私はなにげに玄関先の階段の手すりに腰を下ろそうと下を見てみますと、そこに黒くて素早い親指大の物体、所謂
「先輩」
が、蠢いているのを発見しました。驚いた私は、すぐに跳ね飛び、「ぎゃ!」という奇声を発しながら、先輩から一目散に逃げ出しました。その様子を眺めていた共演者のK氏は、先輩を確認しても、それほど驚くことなく、先輩を眼下に眺めながら、「あ〜」と私のリアクションからかけ離れた、なんともうすいリアクションを取っていました。
まあ、そんなことはよくあることですが、事件はここから起きました。なんとその先輩は、よく言われる「先輩は上から下にしか飛ばない」という定説を見事に覆し、あろうことかK氏の太もも付近に飛び移ったのです!
「足に先輩」
です!!!驚愕ししばし唖然とその光景を見ていた私。しかしK氏は別段慌てることもなく、ぱぱっと振り払うではありませんか!?…私は、
「体に先輩をくっつけた人」
をはじめて観ました。と同時に、K氏の薄すぎるリアクションにも驚愕しました。

………なんてことがあったな〜。と、本日の稽古帰り、一人夜道を歩いていますと、風か何かに乗って、私の頭部になにかがふわっと落ちてきました。私は木の葉が落ちてきたのね〜。秋だね〜。などとなにげに髪を触りました。すると手に多少の違和感を覚えたので、ふと手を観てみますと、
「私の手のひらの上で円運動をしている先輩」
!!!!!!!!!!???????????「ギャーーーーーーーー!!!!!」
私はすぐさま先輩を振り払い、一目散に逃げ出しました!!しかし、逃げ出したにもかかわらず、振り払った先輩がもしかするとまだ服の中に入っているのではないか?という恐怖に襲われ、気が付くと、往来のど真ん中で上着を脱ぎ、バックの中を全て広げていました………
「気を付けよう 落ち葉と先輩 髪一重」